リモートメンテナンスとは?リモート保守/遠隔保守の意味・仕組み・ツールを解説
公開日:2022/05/19 更新日:2025/09/01
リモートコントロール

リモートメンテナンス(リモート保守/遠隔保守)とは、現地に行かずネットワーク経由で機器やPC・サーバーを監視・操作・更新する手法で、IT・情報システム部門、製造(FA/生産ライン)、小売・飲食(POS/店舗端末)、医療・ヘルスケア、公共インフラ、物流など幅広い分野で活用されています。
拠点分散や在宅併用、要員不足の中で障害対応の高速化とコスト最適化を実現する手段として注目されています。
本記事では、意味と仕組み、メリット/課題、導入手順、さらにリモートメンテナンス ツールの選び方までを解説し、最後にNetSupport Managerの活用ポイントを紹介します。
1. リモートメンテナンスとは(リモート保守・遠隔保守の基礎)

リモートメンテナンスとは、ネットワーク経由で遠隔地から機器・PC・サーバー・業務システムを保守(監視/操作/更新)することです。日本ではリモート保守や遠隔保守とも呼ばれ、現地常駐や出張対応を前提としていた従来のやり方を、オフィスや在宅から行えるようにします。
背景として、リモートワークの定着・IT/OTの融合、マルチ拠点化、熟練要員の不足などがあり、保守の省人化・高速化・可視化が強く求められています。
業種横断のリモートメンテナンス活用
たとえば製造業では、FA(工場自動化)の進展により、検査用PC、工程監視端末、現場サーバーなどITシステムにリモートアクセスできる基盤が整備され、遠隔監視・再起動・パッチ適用といった日常保守の多くを現場に行かずに実施できます。その結果、ライン停止時間の短縮や夜間・休日対応の省力化に寄与します。
この潮流はIT・情報システム部門、製造、流通・小売/飲食(POS・店舗端末)、医療・介護、金融・コールセンター、物流・倉庫、公共インフラなど、業種を問わず広がっています。
リモートメンテナンスでできること・できないこと
リモート化により、従来は現地対応が前提だった作業の多くを遠隔で実施できます。ただし何でもできるわけではないため、範囲を明確にしておきましょう。
リモートメンテナンスでできることは、主に次の4つです。
- 稼働状況の監視:ログ、イベント、リソース(CPU・メモリ・ディスク)の把握
- 障害発生時の調査:画面共有、ログ採取、プロセス確認、設定差分の確認
- 起動や停止などの制御:PCの電源オン・オフ(WOL等)
- システムの更新:設定ファイルやパッチの配布・適用、スクリプト一括実行
ネットワーク経由で現地の管理システムにアクセスすることで、機器設備の稼働状況を監視できます。また、システムのログなどから情報収集すれば、障害発生時の原因調査も可能です。加えて、遠隔地から起動・停止などの命令を送信することで、現地のサーバーや端末を制御できるほか、設定ファイルやパッチファイルを転送して、遠隔地のシステムを更新することも可能です。
反対に、リモートメンテナンスでできないことは、主に次の2つです。
- 物理作業:部品交換、配線、清掃など現場介入が必須の修理
- 管理外機器の監視・制御:システム管理下にない機器設備の監視・制御
破損した部品の交換など、物理的な修理はリモートメンテナンスでは行えません。また、システムで管理されていない機器設備の監視や制御も不可能です。
※実施可否は権限設計・セキュリティ方針・ネットワーク要件(NAT/VPN/ゲートウェイ)・WOL対応などの前提条件に左右されます。
用語の使い分け:リモート保守とリモートサポート
本記事でいう「リモート保守(リモートメンテナンス/遠隔保守)」は機器・システムの遠隔保守を指します。情シスがエンドユーザーに行うリモートサポート(エンドユーザー向け支援)とは目的が異なりますが、利用ツールは共通する場合があります。
(リモート保守・リモートサポート比較表)
観点 | リモート保守(メンテナンス) | リモートサポート |
---|---|---|
主対象 | 機器・PC・サーバー・業務システム | エンドユーザー、利用部門 |
代表タスク | 監視、再起動、パッチ配布、設定変更、ログ採取、電源管理 | 画面共有での操作支援、設定案内 |
2. リモートメンテナンスを行うメリット

リモートメンテナンスを行うメリットは、主に次の3つです。
メンテナンス業務の高速化
現地への移動が不要になるため、一次切り分け~復旧までのリードタイムを短縮できます。トラブル連絡直後にオフィス/在宅から調査を開始でき、複数拠点の同時対応やSLA順守にも寄与します。
作業員の負担・リスクの軽減
移動や夜間出動が減ることで身体的・時間的負担を軽減。危険区域やリスクの高い現場への立ち入りも最小化でき、働き方の柔軟化や離職率の低下につながります。
経費の削減
交通費・宿泊費・移動工数を直接削減。深夜の現地対応に伴う費用増も抑制できます。結果として運用コストの最適化と稼働の有効活用を実現します。
3. リモートメンテナンスを行うデメリットと導入の課題

リモート化には多くの利点がある一方、セキュリティと導入設計の複雑さという課題が伴います。
課題①:セキュリティ対策に労力がかかる
ネットワークを介したやり取りが発生する以上、盗聴などのセキュリティリスクは避けられません。サイバー攻撃により機器設備やシステムの情報が漏えいすれば、企業の信頼は失墜します。こうした事態を防ぐためには、確かなセキュリティ対策が必要不可欠です。しかし、通信の暗号化やファイアウォールの設定など対応項目が多く、社内だけで対応するには相当な労力を要するでしょう。
課題➁:環境導入のハードルが高い
リモートメンテナンスを実現する上で、IoT端末を導入して機器設備と接続する必要があります。それに加えて、オフィスと現場で情報共有するためのネットワークシステムも構築しなければなりません。このような環境を実現するためには、専門知識と初期工数、初期費用が必要なため、導入のハードルは高いといえます。
4. リモートメンテナンスを行うための導入方法

リモートメンテナンスは、計画→選定→導入・定着の3ステップで進めるとスムーズです。
①リモートメンテナンスの導入計画
リモートメンテナンスの導入には、それなりの期間・要員が必要です。また、顧客先サーバーへのソフトウェアのインストールなど、社内だけでは完結しないタスクも発生します。従来のメンテナンス業務への影響を最小限にするために、顧客や関係者と情報共有しながら導入計画を立てましょう。
②ハードウェア・ソフトウェアの選定
リモートメンテナンスを実現するためのハードウェアやソフトウェアには、様々な製品・サービスがあります。対象の機器設備やセキュリティ性などを考慮して、適切なものを選定しましょう。
③ハードウェア・ソフトウェアの導入
選定したハードウェアやソフトウェアを実際に導入し、必要な設定などを実施します。前述の通り社内だけでなく、顧客先での環境構築も必要となるでしょう。導入後には、稼働上の問題がないかのチェックも欠かせません。
リモートメンテナンスの仕組み
リモートメンテナンスを導入する上で、まずはその仕組みを理解しておきましょう。
前述の通り、リモートメンテナンスの実現には、IoT端末やネットワークシステムが欠かせません。機器設備の情報をIoT端末により収集し、ネットワークシステムを介してオフィスへ伝達します。障害対応などの際には、オフィスからネットワークシステム経由で機器設備やシステムを制御することになります。
リモートメンテナンスにはソフトウェアの使用がおすすめ
リモートメンテナンスの実現にあたって、ネットワークシステムを独自に構築する場合、人件費や工数の増大は避けられません。また、専門知識を持つエンジニアの確保といった課題もあります。企業がコストを抑えてスムーズにリモートメンテナンスを導入するなら、ソフトウェアの使用がおすすめです。
専用のリモートメンテナンス ツール(ソフトウェア)を使えば、必要な機能(安全な接続、画面共有、ファイル配布、電源管理 など)がはじめから揃っており、短期間でスタートできます。多くの製品は導入サポートやトライアルも提供しているため、社内負荷を抑えながらスムーズに導入できます。
5. リモートコントロールが可能なソフトウェア「NetSupport Manager」

リモートメンテナンスを実現する上で、特におすすめは「NetSupport Manager」です。リモートコントロールを可能にするソフトウェアで、遠隔地にある多数のパソコン・サーバーを一元的に管理・操作できます。インターネットからリモートアクセスするための機能も標準搭載されており、在宅ワークにも対応可能です。
NetSupport Managerの機能
NetSupport Managerは、リモートメンテナンスに役立つ機能が充実しています。
(>NetSupport Managerの機能抜粋)
機能・項目 | 説明 |
---|---|
リモートコントロール(画面共有) | 相手端末の画面・キーボード・マウスを共有/操作できます。サムネイル一覧で複数端末を見渡し、必要時に介入可能 |
モニタリング | 縮小画面で全てのリモート端末をモニタリングできます。ハードウェアや全端末の縮小画面をリアルタイム表示、ホバーで拡大。OSや電池・Wi-Fi情報なども一覧確認 |
電源管理 | 再起動/シャットダウン/ログオン・オフ、Wake on LANも実施可能 |
ファイル転送・一括配布 | ドラッグ&ドロップの簡単操作、複数端末への同時配布に対応 |
双方向チャット | テキストまたは音声モードで、選択した複数のユーザーと双方向チャットが可能 |
社外からの接続 | PINコード接続とインターネットゲートウェイで社外からも安全に接続 |
セキュリティ | ゲートウェイでSSL/TLS証明書、2要素認証 |
証跡管理 | 操作ログ記録、操作録画でトレーニングや監査、証跡管理にも活用できる |
買い切り型で手軽に導入できる点もおすすめです。初期費用を明確にして予算化しやすく、月額課金の増減に振り回されにくいため、小規模スタート→段階拡大もしやすく、結果として長期のTCO(総保有コスト)最適化にもつながります。
NetSupport Managerの導入事例
NetSupport Managerは、流通/小売・情報通信・製造業・医療機関など、幅広い現場で実績があります。3つの事例でイメージをご確認ください。
流通業
流通業のA社は、全国に60以上のチェーン店を展開しています。同社は、POSや店舗端末の保守管理を効率化するために、NetSupport Managerを導入しました。その結果、各店舗への出張対応を大幅に削減し、対応速度の向上や担当者の負担軽減に成功しました。
情報通信業
情報通信業のB社は、クラウド型の業務管理システムを提供しています。同社は、トラブル発生時の訪問対応の負担を軽減するために、NetSupport Managerを導入しました。一次切り分け~復旧を遠隔化し、在宅や拠点から即時対応できる体制を確立しました。移動を伴わない即自サポートが可能になり、コスト削減と応答スピードの向上を両立しました。
製造業
半導体メーカーのC社は、ファクトリーオートメーション(FA)により大規模な工場を自動稼働しています。同社は、FAに必要となる各端末の起動・停止や障害対応をリモート化するために、NetSupport Managerを導入しました。それにより、広いクリーンルーム内を移動せずに対応できる体制を整え、復旧時間の短縮と夜間対応の省力化、担当者の負担軽減を実現しました。
6. まとめ

リモートメンテナンス(=リモート保守/遠隔保守)とは、機器やシステムをネットワーク経由で遠隔から監視・操作・更新することです。出張や常駐に頼っていた保守を、オフィスや在宅から行えるようにする手段として、拠点分散や在宅併用の広がり、そしてビジネスのIT化を背景に注目されています。
一方、ゼロから仕組みを作ると工数やコストがかかります。そこでおすすめなのがNetSupport Managerです。多数のPCやサーバーを一元管理でき、画面共有・ファイル配布・電源管理・チャットに加え、社外から安全に接続できるゲートウェイ/PINコード接続にも対応。幅広い業種で日常保守を無理なくリモート化できます。
コストを抑えてスムーズに始めたい方は、買い切り型ライセンスで導入しやすいNetSupport Managerをぜひご検討ください。従業員1名が3年利用した場合は「26,406円」とサブスク型のサービスの4分の1の価格で利用ができます。
※買切り型(オンプレミス)でご利用いただくリモートコントロールソフトNetSupport Managerは、サブスクリプション(クラウド)の同様サービスと比較して「接続する台数が多い場合」「長く利用する場合」にコスト負担が軽くなります。以下のページで概算費用をご案内していますので、ぜひご参考ください。
買切り型とサブスクのどちらがお得?リモートコントロールソフト価格比較
※機能や価格は公開日時点の情報です