オンライン研修ツールとは
~ 機能や導入のメリットと研修のやり方を解説 ~
公開日:2022/02/02 更新日:2024/02/06
働き方改革が進み、Zoomなどのオンライン会議ツールが広く普及された昨今、オンライン研修ツールによる人材教育が注目されています。加えて新型コロナウィルスの感染拡大を受け、対面での集合研修を中止しオンラインに切り替えている企業も多く、塾や学校などでも授業のオンライン化が急速に進んできています。本記事では、組織に適切なオンライン研修ツールを探している担当者を対象に、オンライン研修ツールの機能と種類、導入するメリットについてを 、おすすめのツールも交えて解説していきます。
1. オンライン研修ツールとは
オンライン研修とは、PCやタブレットを使ってインターネット経由で受講できる研修を指します。オンライン研修ツールはオンライン研修を配信・管理するシステムのこと。研修に参加した履歴やチャットなどによる質疑応答、学習の進捗状況の確認など、ツールによって異なる様々な機能を備えています。
2. オンライン研修ツールの機能
オンライン研修ツールといえば、あらかじめ用意した資料を画面上に表示させ、講師と受講者全員がそれを見ながら講師の説明を聞くオンラインセミナーを想像しますが、それだけではありません。いまや、さまざまな型式のオンラインセミナーが普及しており、開催したいオンライン研修の目的にあわせ、必要な機能を備えたツールを選定していきましょう。一般的な機能として、以下のようなものがあります。
- 講師と受講者をリアルタイムで画面上に表示(PCやモバイル端末のカメラが必要)
- グループワークなど、少人数ごとにプライベートルームを割り当てディスカッションができる
- LMS(受講管理機能)により、受講履歴や理解度の進捗などを一覧で確認できる
- 「コメント」「いいね」「拍手」など一方通行にはならない受講者側からのコミュニケーション手段がある
- 動画やPDFによる資料を教材とし、受講者が繰り返し見ることができる
- バーチャルホワイトボードで資料にはない図説なども行うことができる
- リモートコントロールにより受講者が画面操作に手間取ったり、正常に動かなかったりなどの疑問をその場で解決できる
3. オンライン研修ツール導入のメリット
オンライン研修ツールを導入するメリットは、ネットワーク環境と端末さえあれば、場所を問わず研修を受講することができる点にあります。しかし受講者側だけでなく、開催者側にもメリットが多く存在します。具体的に、それぞれどんなメリットがあるのか、次章で詳しく解説していきます。
研修の開催側・企業側のメリット
オンライン研修ツールを導入すると、研修の開催側・企業側には以下のようなメリットがあります。
- 会場の手配、出欠確認、設営などの手間が不要になる
- 自社の研修であれば、遠方の勤務地の社員に対する交通費、宿泊費のコストが削減できる
- オンライン研修ツールに付属のコンテンツや教材を利用することができる
- 集合研修と違い、終了後のテストやアンケートにより、受講者の理解度や疑問点が明確化しやすい
- 誰がいつどの研修に参加したか履歴が残り、一括管理が可能となる
集合研修では、企業がひとりひとりの理解度や進捗を把握するのは難しく、参加したという記録だけになりがちです。また、会場規模によっては人数制限などもあり、希望者全員へ受講させることができないケースもあります。後述するe-ラーニング・録画型であれば、進捗の確認が容易であり人数制限がないのはもちろん、講師がリアルタイムで対応する必要もなくなり、さらに効率的に幅広い研修を網羅することもできるようになります。
研修の受講者側のメリット
オンライン研修ツールを用いた研修を受講する側のメリットも具体的にリストアップしてみましょう。
- 悪天候や感染症拡大など外出リスクがある中でも、場所を問わず研修の受講が可能
- 希望する研修が都心でしか開催されないなど、地方在住の場合も簡単に受講ができる
- 必須研修、任意研修を自分で選択して組み合わせて受講できる
- 集合研修では発言しにくく、理解していないまま終わってしまうことがある一方で、チャットやアンケートなら質問しやすい
- 研修時の教材をダウンロードし、いつでも見返すことができる
- 録画や録音可能なツールであれば、繰り返し受講することも可能
4. オンライン研修の種類・やり方
上述のようにメリットの多いオンライン研修は、主に以下のふたつの方法が主流になっています。ツールによって、どちらがオンライン研修に特化しているのか異なりますので、研修の目的や対象者によって選択しましょう。
- eラーニング・録画型
- リアルタイム配信型
eラーニング・録画型
eラーニング・録画型とは、あらかじめコンテンツを準備し、受講者に選択して学習してもらう形式のオンライン研修です。
開催側と受講者側どちらも、リアルタイムで時間をあわせて開催する必要がなく、事前準備さえ整えておけば受講者が自由に学習を進めていくことができるやり方です。以下がeラーニング・録画型のオンライン研修の実現方法となります。
- e-ラーニングサービスを比較し検討と選定を行う
- メンバー登録のやり方、サインイン履歴と進捗管理など、LMS(学習管理システム)の準備
- 学習コンテンツ(教材)の作成もしくは既存パッケージの選定
- 必要に応じて、人事データとの連携
- 運用テスト
- ユーザーへ使い方の案内(ユーザー登録、パスワード設定の仕方、操作手順など)
- 運用開始
受講対象者のタイプによって、モバイル端末を使えるかどうか、コメントや質問が投稿できるか、進捗状況が見えやすいかなど、事前準備の内容も変わってきます。いつでも好きな時に受講できるというメリットがある反面、やる気が起こらなければ放置しがちになってしまうというデメリットもあるため、コンテンツ内容やインターフェースの検討は念入りに行う必要があります。
リアルタイム配信型
一方、リアルタイム配信型は、e-ラーニング・録画型とは正反対で、決められた日時に端末の前にいる必要があり、リアルタイムに研修を受講するやり方です。以下がリアルタイム配信型のオンライン研修の実現方法になります。
- ツールを検討する(Web会議ツールやオンライン研修ツールの種類を決める)
- 日時を決めて事前に案内する
- 配信する資料、講師、進行をアシストするオペレーター(質疑応答・映像や音声トラブル対応など)の準備
- 決められた時間内に完了できるようタイムスケジュールを作成
- 事前の接続テスト(カメラ、マイク、スピーカー、ファイル共有など)
基本的には上記のような流れとなりますが、グループワークや実技などを含めるかなども検討し、構成を考えておくことが重要です。受講者が飽きないような適度な時間割を決め、要所ごとにグループワークを取り入れるなどをすることで参加しているという実感にもつながりますが、苦手な人もいるため、研修のテーマによりケースバイケースで構成します。
5. オンライン研修に役立つツール
オンライン研修を行う際、役立つツールには下記のようなものがあります。
- 動画配信ツール
- Web会議ツール
e-ラーニング・録画型でのオンライン研修には、動画配信ツールが便利です。一方で、グループワークや質疑応答、ディスカッションを含めたリアルタイム配信型であれば、Web会議ツールが有効です。それぞれの特徴、できることについて次章で詳しく紹介していきます。
動画配信ツール
動画配信ツールは、開催側から受講者側へ、一方通行に近い形で情報を伝達します。事前に時間をかけて動画や資料を作成することができ、とくに不特定多数の視聴者へ情報を配信する用途に向いています。会社説明会や学校説明会、一般教養のような内容の研修にも適しており、気軽に受講しやすいものになっています。
メジャーなものでは、YouTubeやZoomのウェビナー(Webセミナー)などがあり、低価格ではじめることができることや、普段から利用しているユーザーが多いため、導入のハードルが低いといったメリットがあります。
Web会議ツール
集合研修や授業に近い形態でオンライン研修を行いたい場合は、Web会議ツールの利用が便利です。バーチャル空間にそれぞれの場所からオンラインで参加し、ディスカッションや画面共有なども行うことができます。発言やファイル共有をどこまで許可するか、録画して後日配信するかなども開催者側が管理することが可能となっています。
代表的なものではZoomやMicrosoft Teams、WebEX Meetingなどがあり、世界中で広く使われています。チャットやリアクション機能などのコミュニケーションの手段もあるため、開催側からの一方通行になりません。技術的な研修であれば、受講者がわからない部分をカメラに映して共有し、アドバイスを受けることも可能であるため、これまで現地で集合しなければ対応できなかった技術研修にも活用できます。
6. オンライン研修の問題点・課題
オンライン研修ツールを利用したオンライン研修は、場所や時間など既存の問題解決に大きく役立ちますが、現実的に離れているがゆえの問題点や課題も存在します。受講者は、講師や他の受講者から見えないこともあり、参加しているという意識が薄れ、ただサインインして話を聞くだけになりがちです。
また、受講している場所の環境やオンライン研修ツールによっては、回線が不安定で声が聞こえにくい、操作方法がよくわからない、マイクがONにならず発言できない、などのトラブルも起こりがちです。さらに開催側も、受講人数が多い場合は、ひとりひとりの状況を把握しにくいことから、理解度や習熟度、進捗がわからないまま講義を進めてしまい、一方的な進行になりがちです。
7. 「NetSupport School」での事例
教育機関でのICT授業支援ソフトとして豊富な実績を持つ「NetSupport School(ネットサポート スクール)」 は、リモートコントロールの機能も含まれ、企業等でのオンライン研修での利用に役立つツールです。 主に以下のような特徴があります。
- 先生は複数の生徒の操作状況を一括して管理できる
- 受講者の端末の状況を1画面で表示、出席確認や進捗を目視可能
- 先生は生徒端末に対して、出席確認ができる
- 生徒端末のアプリケーションの起動を制御することが可能
- 複数の生徒端末に対して、ファイルの一斉配布/回収が可能
- プリンタ、USB、CD/DVD制御機能
- 先生または生徒端末の画面録画が可能
- 生徒から先生へヘルプ依頼を出すことが可能
- 会議後のアンケート機能
これらの優れた機能を搭載しているため、スムーズなオンライン研修が実施可能。まさに企業等でのオンライン研修での利用にも適したツールといえるでしょう。
複数の工場勤務者向けに技能講習を行った企業の事例では、導入効果として、交通費や宿泊費を削減できたこと、少人数を対象にした講習を行えるようになったことをあげています。カメラアプリと併用して受講者の手元を確認することができるため、一方的にならない実技講習を実現できます。
また、受講者の画面を遠隔操作することによって、トラブル対応が迅速に行えるため、現地にサポート要員を置く必要がなくなるといった利点もあります。さらに、研修に関係のないアプリケーションの起動を制限し、研修に集中できるようにする機能なども搭載しています。
8. まとめ
オンライン研修ツールは今後ますます必要性が高まり、とくに複数の拠点がある企業では人材育成に必須のツールといっても良いかもしれません。そのため、「NetSupport School」をはじめ、自組織に適した製品を選定し、組織にとって必要不可欠な人材育成に役立てていきましょう。
ちなみに、この「NetSupport School」で社外(自宅等)の参加者を対象とする遠隔オンライン研修を実施するには、主催者の所在地(会社等)と社外参加者の間に、VPN(仮想プライベートネットワーク)の構築が必要となります。詳細は「NetSupportSchool Vxx.xxマニュアル」の「無線の教室でNetSupport Schoolを使用する」をご参照ください。
また、VPN一般については、「オンライン授業とVPN」 でご案内しております。
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