GIGAスクール構想の課題は運用にある?鍵を握るStuDX Style、業務支援ソフトの活用とは
公開日:2021/07/05 更新日:2024/02/01
コロナ禍により、日本の学校教育現場のIT化がまだまだ立ち遅れていることが浮き彫りになり、「GIGAスクール構想」の推進もよりスピードを増しています。本記事では、GIGAスクール構想を運用する上での課題や、その解決方法を解説するとともに、GIGAスクール構想の運用加速に欠かせない業務支援ソフト「NetSupport School」についてもご紹介します。
1. GIGAスクール構想とは
GIGAスクール構想のGIGAとは、「Global and Innovation Gateway for All」を略したもので、文部科学省が推進する教育現場のICT化計画を「GIGAスクール構想」と呼んでいます。
児童生徒向けに1人1台の端末を完備し、すべての学校に高速大容量の通信ネットワークを整備することを目指しており、インターネット端末を利用することで、多様な子どもたちに個別最適化された学習環境を提供し、誰一人取り残すことなく公平な学びを届けられる状態を目指します。
GIGAスクール構想自体は2019年から提言が始まっていましたが、2020年からの新型コロナウイルス感染拡大に伴い、教育現場でのICT活用が急務となりました。休校中でも「学びを止めない」ことが最優先され、オンラインを通じて授業を行うケースが一気に増加しました。
◆【参考資料】文部科学省 GIGAスクール構想の最新の状況について
◆【関連記事】オンライン授業にもつながるGIGAスクール構想とは~学校教育のICT化を実現するためのポイントを解説~
2. なぜGIGAスクール構想が必要なのか
日本の教育現場に、GIGAスクール構想が必要となる理由としては、下記の3つの点が挙げられます。
- Society5.0時代の到来
- 「2025年の崖」問題
- 2040年問題
GIGAスクール構想に取り組むことで、これらの3つの未来の現象に対して、AIやロボティクスなどの先端技術を活用した対処が可能となると考えられています。若い世代の人材が義務教育の段階から、デジタル端末を使ったラーニングや情報共有、プロジェクト進行といった経験を積むことで、近い未来に訪れる危機や問題に対応できるようにすることが、GIGAスクール構想の最大の目的となります。
Society5.0時代の到来
出典:内閣府 Society5.0 「Society5.0で実現する社会」
Society5.0時代とは、サイバー空間(=仮想空間)とフィジカル空間(=現実空間)を高度に融合させた、“人間中心”の時代や社会を指しています。
狩猟社会が「Society 1.0」、その後の農耕社会が「2.0」、工業社会が「3.0」、情報社会が「4.0」を表されるのに対し、その先の新たな社会ということで「Society 5.0」と銘打たれているのです。
Society5.0時代は、第5期科学技術基本計画において「日本が目指すべき未来社会の姿」として初めて提唱され、経済発展と社会的課題の解決を両立することが期待されています。
Society5.0時代を支える若い世代にこそ、GIGAスクール構想により、公平かつ迅速にICT教育を施す必要があると言えるでしょう。
「2025年の崖」問題
経済産業省が発表した「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」は、日本の中小企業におけるIT面の脆弱さを指摘するもので、DX推進の必要性を訴えています。
もし中小企業がこの課題を克服できない場合、2025年以降、年間あたり最大12兆円の経済損失が生まれる危険性が予測されています。DX完成済みの大企業と中小企業の間でより格差が拡大する恐れがあり、この企業格差を「2025年の崖」と呼んでいます。
GIGAスクール構想によってICT技術に触れた子どもたちは、いずれ社会に出て働く人材になります。
GIGAスクール構想の浸透および実現は、社会全体で「2025年の崖」を乗り越えるための助走として、極めて重大な要素といえます。
2040年問題
総務省の「自治体戦略2040構想研究会」で指摘された「2040年問題」とは、高齢者人口がピークを迎え、労働人口が減少する2040年における日本の社会問題のことです。
今よりも少ない労働人口で、質の高い自治体サービスを提供・維持できるようにするためには、AIやロボティクスなどの先端技術を大いに活用するほかありません。こうした「スマート自治体」を主導していけるような、DXに長けた人材育成の懸け橋としても、GIGAスクール構想は期待されています。
3. GIGAスクール構想の課題は「運用」にある
コロナ禍によってGIGAスクール構想の推進はスピードを増し、公立小中学校における端末設置は、2020年度末時点でほとんど完了しています。
校内のネットワーク環境の整備や、業務支援ソフトの導入なども徐々に進んでいますが、一番の課題が残るのは肝心の運用の部分であると言えるでしょう。ハード面の課題はクリアになりつつも、ソフト面での課題は今後も自治体ごとに差が出る恐れがあります。
各自治体のGIGAスクール構想を主導する教育委員会・教育総務課にとっては、「ICT機器の導入・環境整備」が最終ゴールであり、運用面がおざなりにされているのが実情です。当然ながら、GIGAスクール構想は現場での運用が上手くいって初めて、目的を達成できるものですので、教育委員会と学校などの現場の連携を図りつつ推進することが肝要です。
4. 「GIGAスクール構想」運用の課題
GIGAスクール構想を運用する上で、次のような課題が指摘されています。それぞれの課題については、次項で詳しく解説します。
- 教職員のITリテラシー・運用スキル
- 同時アクセスに耐え得るネットワーク環境の構築
- セキュリティ・フィルタリングの設定・管理
- 保護者等に向けた取り組みの安全性の説明
- 取り組みに必要な業務支援ソフト・ツールの選定
教職員のITリテラシー・運用スキル
GIGAスクール構想の推進において、最も大きな課題とされるのは、実際に生徒と接する教職員のITリテラシーや運用スキルの不足です。端末やネットワーク機器は、コストをかければ揃えることはできますが、人材や能力については一朝一夕にはいきません。
教職員自身がITに関する知識が乏しければ、当然ながら生徒たちにも教えられるはずがありません。Wordで文章を打ったり、PowerPointで会議資料を作ったりといったPC操作はできても、情報セキュリティやネットワーク管理、リモート接続などさらに高度な知識が求められるため、すべての教職員が同等の能力を身に着けるには時間がかかります。ただでさえ教職員の過剰労働が問題視される昨今、通常業務に加えて、長時間にわたるICT研修等を実施するのは困難です。
同時アクセスに耐え得るネットワーク環境の構築
次の課題は、何十人、何百人という児童生徒の同時アクセスに耐え得る、大容量のネットワーク環境を構築するのが難しいという点です。
ネットワークが脆弱だと、複数の生徒が一斉にネット接続を行った場合、通信速度が著しく低下する恐れがあります。また、授業等で特定のサイトやページに同時アクセスすると、恣意的に集中的なアクセスを試みるサイバー攻撃と勘違いされて、アクセスが遮断される場合もあり得るため、注意しなくてはなりません。
それでも、学校は公的な支援が受けられるため、コストをかければネットワーク環境の構築は不可能ではありません。むしろ経済事情が異なる各家庭でのネットワーク整備の方がさらに難しいとされ、GIGAスクール構想の足かせになっています。
セキュリティ・フィルタリングの設定・管理
次の課題はITリテラシーとも深く関わる部分ですが、セキュリティやフィルタリングに関する問題です。オンラインで世界中とつながるインターネットを利用するということは、サイバー攻撃や、悪意のある第三者によるなりすまし・乗っ取り等の脅威に常にさらされているのと同義であり、強固なセキュリティ対策を行わなくてはなりません。
子どもたちが自分自身でOSやソフトウェア、デバイスの管理をすることは難しいため、はじめはこれらを教職員や親といった大人が監視・管理する必要があります。そのためには、まず教職員・親の側がITセキュリティについて深く理解しなくてはなりませんが、大人への教育が追いついていないのが現状です。
セキュリティやフィルタリングには、学校側・運用管理者側で設定するものと、子どもたちへの教育・管理を行うものでそれぞれ対応が必須となり、負担は二重になります。
保護者等に向けた取り組みの安全性の説明
GIGAスクール構想では、児童生徒の保護者からの理解を得るための苦労も、大きな課題となっています。とりわけITへの関心や知識が深くない保護者に向けて、デジタル端末の扱い方や、ネットワーク回線の整備、インターネットにアクセスする危険性等について、一から分かりやすく説明するのは困難です。
レクチャーする教職員側も、しっかりと理解と対策をした上で、保護者に説明を行う必要があるため、教職員の負担はますます大きくなっています。
取り組みに必要な業務支援ソフト・ツールの選定
GIGAスクール構想の運用を成功させるには、ハード面の強化だけではなく、実際に現場で運用に当たる教職員をサポートするソフト・ツールを用意する必要があります。この場合どんなツールでもいいというわけではなく、どんな教職員でも使いこなせるシンプルなつくりで、かつ確実な業務支援を行ってくれるソフト・ツールを選ぶべきです。
各学校や自治体別に、最も扱いやすい業務支援ソフト・ツールを選定し、導入を進めることが急務となっています。
5. GIGAスクール構想の課題解決方法
GIGAスクール構想の課題を解決する方法として、以下の2つが挙げられます。
- 文部科学省開設「StuDX Style」の活用
- 「授業」に特化した業務支援ソフトの選定
文部科学省開設「StuDX Style」の活用
文部科学省が開設したサイト「StuDX Style」は、GIGAスクール構想を推進する上で役立つ情報やコンテンツを一カ所に集約し、教職員の参考となることを目的に作られたものです。
StuDX Styleに掲載されている実践事例を、いくつか紹介します。
- デジタル付箋を使ってみよう(GIGAに慣れる―使ってみよう)
- 家庭学習カードのオンライン化(教師と生徒がつながる)
- アウトプットを共有して互いのよさを発見(生徒同士がつながる)
- 保護者へのお手紙(学校と家庭がつながる)
- 端末を使った授業の相互参観(職員同士がつながる)
上記のうち、「デジタル付箋を使ってみよう」では、GIGAに慣れるための練習として、キーワードをデジタル付箋に書き込んで画面上で共有するやり方を解説しています。例えば「休み時間にしたいこと」をテーマにして、おにごっこ、ドッジボールなどの言葉をキーボードで打ち込んで、画面に貼り付けていく操作を通じて端末の作業に慣れることができます。
また「家庭学習カードの内容や、授業中に感じた意見をオンラインで共有する」、「学級便りをオンラインで配信する」、「ICT端末を使用した授業をオンラインで他の教師が見学できるようにする」などの事例が分かりやすく紹介されています。
「教育現場」に特化した業務支援ソフト・クラウドツールの選定
GIGAスクール構想の実現へは現場に出る教職員による積極的な運用が不可欠ですが
- 教員間でのリテラシーの差
- 多大な業務負荷
は運用を妨げています。
適切な業務支援ソフトやクラウドツールを用意することは、すべての教育現場で強く求められています。
しかし一般的な企業で使われている業務支援ソフトやクラウドツールは、IT専任の担当者が取り扱うことを前提としているものも多く、教育現場で使用するにはハードルが高いという声も挙がっています。
いくら性能が良いソフトやツールを導入しても、使いこなせなければ「宝の持ち腐れ」となってしまいますので、ITツールの取り扱いに慣れていない教職員でも使いやすい、シンプルな設計のソフトやクラウドツールを選ぶべきです。
また、生まれて初めて端末を触る児童生徒による、事故やトラブルも大いに想定されますので、大人同士のやり取りを前提とした一般企業向けツールではなく、教育現場に特化した内容の支援ツールを選ぶことをおすすめします。
6. GIGAスクール構想の運用を加速させる「NetSupport School」
GIGAスクール構想の運用を加速・支援するためのツールとして「NetSupport School」をご紹介します。「NetSupport School」は、リモートコントロールソフトの利点を活かした業務支援ソフトで、次のような機能を標準で搭載しています。
- 教職員が自身のデバイス画面上で、生徒のデスクトップ画面を一括管理できる
- つまずいている生徒がいたら、その場でフォローできる
- オンラインヘルプやチャットを通じて生徒からの質問を受けられる
- アプリケーションとウェブの使用状況を逐次監視できる
- リモートコントロール機能で生徒の画面を操作しながら指導ができる
まず、教職員が生徒全員の画面操作を随時確認することで、操作が遅れていたり手が止まっていたりする生徒がいれば、すぐに気づいてフォローすることができます。もちろん生徒自ら、ヘルプ機能等で質問することも可能です。ヘルプ機能を利用することで、挙手や発声によるアピールが苦手な生徒でも、スムーズに質問ができるようになるといった利点もあります。
対面授業では、教職員が教室を回って生徒のノートを確認したり、都度挙手による質問を求めたりしなければ、生徒がきちんと理解できているかどうかを把握できません。しかし30~40人もの生徒を受け持つ先生は、すべてをフォローするのは不可能で、どうしても取りこぼしが発生してしまいます。「NetSupport School」を利用したリモート授業なら、このような課題も解決でき、対面授業よりも効率が良い面もあると言えます。
また、アプリケーションとウェブの使用状況は逐次監視でき、授業中に他のアプリを触っていればすぐに注意できるので、生徒は授業に集中できます。さらに教職員が生徒の画面をリモートコントロールして、クリックする場所や操作方法をライブで指導することで、端末操作に不慣れな生徒でも安心して授業に参加できます。
NetSupport Schoolの導入事例
導入ユーザー様 | 国際学院埼玉短期大学 幼児保育学科 |
導入に至った背景と課題 | 従来使用していたリモートコントロールは、コストパフォーマンスが悪かったため切り替えを検討 |
導入の決め手・ポイント | リモートコントロール機能をメインとしたシンプルな設計 |
導入後の効果・感想 | UIに優れ、使い勝手が良く、生徒の混乱もほぼ起こっていない |
今後の展望 | 系列の中高一貫校への導入も検討 |
事例掲載ページ | 事例:国際学院埼玉短期大学 |
国際学院埼玉短期大学では、幼児保育学科の情報処理の授業では従来別のリモートコントロールソフトを利用してきました。しかし毎月ごとの保守費用が負担となり、ライセンス買い切り型パッケージソフトを探していたところ、費用対効果で優れた「NetSupport School」と出会い、導入を決定。
他社ソフトではリモートコントロール機能がオプション扱いのものが多かったところ、「NetSupport School」は同機能がメインで、他は必要最低限のシンプルなつくりであった点も決め手となりました。
ソフトの入れ替え時期が、ちょうどコロナ禍の休校期間と重なるというアクシデントがあったものの、「NetSupport School」はUI(ユーザーインターフェース)に優れ、誰でも分かりやすい操作性であったため、多くの学生がスムーズに乗り換えられて混乱も起きていません。
まとめ
コロナ禍で一気に推進スピードが増した感のあるGIGAスクール構想ですが、やはり運用面に多くの課題が残ることは否めません。
しかし、現在ではICTに疎い教職員の業務支援をする、優秀なサポートソフトやツールがどんどん登場しています。「オンライン授業が上手く進められない」、「リモートでのやり取りが負担に感じる」、といった悩みを抱えている場合は、本記事を参考に「NetSupport School」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
◆国際学院埼玉短期大学 幼児保育学科 様の導入事例はこちら
◆大阪大学 社会経済研究所 様の導入事例はこちら
◆明治学院大学 経済学部 様の導入事例はこちら
◆「NetSupport School」サービス詳細はこちらのページをご覧ください。
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